無料で相談する

ほじょ窓 › コラム:持続化補助金の賃金引上げ特例

持続化補助金の賃金引上げ特例とは?第20回は1人あたり給与支給総額3%増、赤字事業者は補助率3/4

最終更新日:2026年10月23日 ・ 執筆・監修:中小企業診断士(ほじょ窓診断士事務所)

持続化補助金の第20回では、「賃金引上げ特例」の中身が大きく変わりました。前回までの「事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高くする」から、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やすという要件になっています。特例を使うと補助上限が150万円上乗せされ、赤字の事業者は補助率が3/4になります。一方で、要件を満たせないと補助金全体が交付されないという重いルールもあります。公募要領にそって、使う前に確認したい点をまとめます。

特例ごとの補助率と補助上限

申請のしかた補助率補助上限
通常枠のみ2/350万円
インボイス特例2/3100万円(50万円上乗せ)
賃金引上げ特例2/3200万円(150万円上乗せ)
賃金引上げ特例(赤字事業者)3/4200万円
インボイス特例+賃金引上げ特例2/3(赤字事業者は3/4)250万円(200万円上乗せ)

補助率が3/4になるのは、賃金引上げ特例を使う事業者のうち、赤字の事業者だけです。補助上限200万円を受けるのに必要な補助対象経費は、補助率2/3なら300万円、3/4なら約267万円です。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.3・P.7〜8)

賃金引上げ特例の要件

要件は、補助事業の実施期限日を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月を比べて、従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増やすことです。第20回では実施期限日が2028年3月31日なので、2027年4月〜2028年3月と、その1年前の12か月を比べることになります。

申請者は「1人あたり給与支給総額目標値」を決め、採択後・交付決定までに全従業員(または従業員代表者と役員)に表明し、実績報告のときに達成している必要があります。

対象になる従業員非常勤を含む。代表者・役員・専従者は含めない。比べる2つの12か月とも、全月分の給与を受けた人が対象(途中で入社・退職した人は除く)。パートタイムの方は常勤に換算する
給与支給総額給料・賃金・残業代・賞与などを含み、福利厚生費・法定福利費・退職金は含まない
最低賃金比べる2つの12か月とも、地域別最低賃金以上を支払っていること
従業員がいない場合いずれかの月で対象の従業員がいないと1人あたりの額を計算できないため、特例の対象外

なお、この特例でいう「従業員」は、小規模事業者かどうかを判断するときの「常時使用する従業員」とは別の考え方だと、公募要領に注意書きがあります。小規模事業者の数え方は業種で5人か20人かのコラムにまとめています。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.9〜10)。前回までの要件は補助金ポータル「持続化補助金 一般型・通常枠」

「赤字事業者」とは

賃金引上げ特例に取り組む事業者のうち、直近1期(個人事業主は直近1年間)の課税所得金額がゼロ以下の事業者です。判定に使う書類は次のとおりです。

  • 法人:直近1期に税務署へ提出した法人税申告書の別表一・別表四の写し(「所得金額又は欠損金額」欄)
  • 個人事業主:直近1年に税務署へ提出した確定申告書第一表の写し(「課税される所得金額」欄)

赤字事業者として賃金引上げ特例を希望すると、賃金引上げ加点に加えて「赤字賃上げ加点」も自動的に適用され、優先採択の対象になるとされています。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.9・P.11)

賃金台帳などを出すタイミング

時期主な書類
申請時申請画面で特例にチェックし、誓約・同意書(様式7)で誓約
採択後〜交付決定まで採択発表日の属する月を終点とした連続12か月分の賃金台帳と、所定労働時間・年間休日がわかる書類(雇用契約書・労働条件通知書など)
実績報告時補助事業の実施期限日を終点とした連続12か月分の賃金台帳と、賃上げ後の雇用条件がわかる書類

賃金台帳などは、役員・専従者を除く、補助事業を行う場所の全従業員分が必要です。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.10〜11)

要件を満たせないとどうなるか

公募要領では、賃金引上げ特例を希望した場合、通常枠と賃金引上げ特例の要件を1つでも満たさないと補助金は交付されないとされています。上乗せ分だけでなく、補助金の全体が対象外です。実績報告までに従業員が退職するなどして1人あたりの上昇率を計算できなくなった場合も、補助金は交付されません。

持続化補助金は後払いです。補助事業の費用をいったん全額払ったあとで、賃上げの未達を理由に1円も受け取れない、ということが起こりえます。特例は「使えるなら使う」ではなく、達成できる見込みを確かめてから選ぶことをおすすめします。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.8・P.10〜11・P.25)

申請前に、賃上げの数字を試算しておく

たとえば、比べる前の12か月の1人あたり給与支給総額が300万円なら、目標は309万円以上です。昇給や賞与をどう積むかに加えて、次の点も確かめておくと安心です。

  • 2027年4月〜2028年3月の間に、退職や休職の予定・可能性がある人はいないか
  • 補助事業で増える売上・利益で、増えた人件費を払い続けられるか
  • 従業員が1人だけの場合、その人が退職すると計算ができなくなること

赤字の事業者は、補助率が上がるぶん自己負担は軽くなりますが、賃上げの原資をどこから出すかを計画の中で説明できることが大切です。赤字の理由と、補助事業でそれをどう解決し、増えた利益をどう給与に回すのかが一本の線でつながっていると、計画が伝わりやすくなります。

第20回のスケジュール

申請受付の開始2026年11月5日(木)
様式4(事業支援計画書)の発行の受付締切2026年12月4日(金)
申請受付の締切2026年12月15日(火)17:00
補助事業の実施期限2028年3月31日(金)
実績報告書の提出期限2028年4月10日(月)

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回 公募要領 第7版(P.3〜4・P.24)。公募要領は改定されることがあります。申請の前に事務局サイトの最新版(第8版)を必ず確認してください。

よくある質問

従業員がいない個人事業主でも、賃金引上げ特例は使えますか?

使えません。公募要領では、いずれかの月で算定対象となる従業員がいない場合、1人あたり給与支給総額を計算できないため特例の対象外とされています。代表者・役員・専従者は従業員に含めません。

赤字かどうかは、何で判断しますか?

法人は直近1期の法人税申告書(別表一・別表四)の所得金額、個人事業主は直近1年間の確定申告書第一表の「課税される所得金額」で判断し、ゼロ以下なら赤字事業者です。

目標の3.0%に届かなかったら、上乗せ分だけ減るのですか?

公募要領では、通常枠と賃金引上げ特例の要件を1つでも満たさない場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されないとされています。達成できる見込みを確かめてから特例を選ぶことをおすすめします。

賃金台帳は申請のときに出すのですか?

公募要領(第7版)では、申請時は特例の選択と誓約・同意書(様式7)、採択後から交付決定までと実績報告時に、それぞれ連続12か月分の賃金台帳を出す流れです。最新の公募要領で必ず確認してください。

賃金引上げ特例を使うか、一緒に試算できます

従業員の人数と給与の状況をうかがい、3.0%の目標を達成できそうか、赤字事業者の補助率3/4が使えるか、計画でどう説明するかを中小企業診断士が整理します。第20回に向けて、いまからご予約いただけます。初回のご相談は無料です。

持続化補助金について相談する
無料で相談する